前回まではラベルの用語について、筆者の主観も交えながら解説させていただきました。
いかがだったでしょうか?
今回は、日本酒を”飲む”ということについて深掘りしていきましょう。
日本酒の飲み方がよくわからないと言う声を結構聞きます。
確かに難しいと思います。
日本酒の飲み方について、じっくり解説していきたいと思います。
日本酒を飲むことを唎酒と言ったりします。
唎酒には大きく分けて2種類あります。
①嗜好型の唎酒〜主観的唎酒
唎酒する人の嗜好そのもの(好き嫌い)で判断する唎酒方法。
業界に関係のない一般消費者の飲み方です。
簡単に言えば、美味しいか美味しくないかを判断する飲み方です。
これについては、完全に好みになりますので、ここで言及するのは避けようと思います。
②分析型の唎酒〜客観的唎酒、いわゆるテイスティング
唎酒する人が、唎いたお酒を客観的に表現、評価する唎酒方法。
主に、外観・色調、香りや味わいを評価します。
今回はこの分析型の唎酒について掘り下げ、客観的に評価する方法をお伝えしたいと思います。
・手順
1.外観・色調を観察します→製造から時間が経つほど色が黄色くなり、さらに茶色くなります。
色調から熟成度合い等を読み取ることができます。
2.容器に鼻を近づけ、香り(この香りを上立ち香という)を確認します。
香りが華やかか穏やかか、控えめか、そして香りの特徴(りんご様、バナナ様など)を確認します。
同時にオフフレーバー(嫌な臭い、例えばカビ臭など)がないかチェックします。
3.少量を口に含み、鼻に抜けた香り(この香りを含み香という)を確認します。
先ほどの上立ち香と同様の香りか、差異はないか、オフフレーバーはないか等確認します。
香りの強度も確認します。
4.舌の上の味(甘味・酸味・旨味・苦味・渋味)及び口当たり(刺激の有無・きめ)を確認します。
いわゆる甘口の酒なのか辛口の酒なのかと言ったことや、酸味が浮いていないか、旨みが多く雑味になっていないか等確認します。
また、口当たりも確認し、舌を刺すような刺激はないかと言ったことも確認します。
5.飲み込んだ後(吐き出した後)の後味(きれの良さ)を確認します。
甘さ等が口に残らないか、余韻はどうか等を確認します。
こういった手順を踏んで日本酒を客観的に表現・評価します。
日本酒の資格試験を受けられた方はわかると思いますが、テイスティング試験の問題も上記手順を踏まえた構成となっています。(大体、外観・香り・味わいで構成されています)
もちろん、美味しいか美味しくないかということが大事ですが、その日本酒はどんな日本酒かを表現できるようになるためにも、上記手順で日本酒を唎いてみるのも面白いですよ。
では、唎酒が上手になるにはどうすればいいでしょうか。
結論から言うと、”量(どれだけ違う日本酒を飲めるか)”です。
ですが、なかなか量を飲むのは難しいですよね。
そこで、行ってほしいのが、以前から申している”飲み比べ”です。
なぜ飲み比べが大事かというと、1つのお酒だけで唎酒をしても、そのお酒の香りが華やかなのか、甘口なのか、きれがいいのかなど判断できないですが、2つ以上で比較することでそう言った事柄の判断ができるようになるからです。
ですから、量を飲めば飲むほど基準が明確になり、より客観的な評価ができるようになるのです。
特にビギナーの方にこそ、タイプの違うお酒を最低二つ(吟醸系と普通酒、甘口と辛口、酸の高いお酒とそうでないお酒、新酒と古酒、生酒と火入れ酒など)揃えて、飲み比べをしてほしいと思います。
日本酒の甘い(辛い)とはこう言うことか、香りが華やかとはこう言うことか、など違いがはっきり理解できるようになります。
違いを分かった上で、自分の好みが把握できれば、自分の好みのお酒をより正確に選べるようになります。
そして、その自分の好みのお酒(例えば辛口のすっきりしたお酒)を軸にして、自分の好みの酒と比べてどうかという視点で唎酒をする(好みの酒より甘いな〜、味が濃いな〜、香りが全く異なるな〜など)と、より日本酒への理解が深まります。
まとめると、①まず、極端に違う2つ以上のお酒を飲み比べる→②日本酒の違いを理解し、自分の好みを把握した上で、軸となるお酒を作る→③日本酒を飲む際に、軸となるお酒と比較すると言う流れで飲んでいただくと、日本酒を楽しみながら唎酒力も強化できます。
気づけば唎酒マスターになってますよ。
そこまで来れば、ぜひ日本酒の資格にもチャレンジしてほしいと思います。(酒ディプロマ、唎酒師、WSET SAKEなど)
いわゆる定番のお酒(ステレオタイプとも言えなくもないですが、、、)について理解を深めることができると思います。
また、表現方法等も参考になると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。
日本酒の飲み方、テイスティング方法とその強化法として飲み比べについて解説しました。
いかがだったでしょうか。
何かご質問等あれば遠慮なくコメントください。
次回はマニアックですが、香りや味わいについて深掘りしたいと思います。