麹(こうじ)と酵母(こうぼ)

2021/05/12
by 成子 和弘

日本酒の製造過程、麹カビと酵母という2種類の菌が使われる。                               こうじとこうぼ、言葉の感じが似ているので混同されている方が多いが、全く別の菌であるし働きも全然違う。            麹カビは、お米のデンプンを糖分に変える働き。酵母は、その糖分をアルコール(お酒)に変える働きをする。            いいお酒を造るには、麹と酵母がバランスよく働くことが不可欠だ。                              タンクで発酵中、杜氏は毎日糖分とアルコール度数を測定し、その数字を見ながら温度調節やタンクへ加水を行なう。       安全に発酵を進めるには発酵温度を上げるのが一番なのだが、低温で発酵させないと華やかな吟醸香は出ない。しかし、温度を下げ過ぎると途中で発酵が止まってお酒にならない。また麹のみよく働き糖分が出過ぎると、酵母は最後まで働けず、糖分の残った甘ったるい酒になってしまう。この2種類の菌での発酵を専門用語で「並行複発酵」と言うが、麹と酵母の働き、そのバランスを取りながら発酵を進めるのは平均台の上を落ちないよう歩いてゆくのと同じような感覚だ。とにかく、美味しいお酒造りは最後まで気を抜けない。                                                       




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