踏込粕

2021/07/17
by 成子 和弘

粕汁や甘酒を作る時の板状の酒粕と、奈良漬を漬けるための味噌状態の酒粕。もともと全く同じものだと説明するのが難しい。酒造業界では、味噌状態の粕を踏込粕(ふみこみかす)と呼ぶ。酒造シーズンが終わる3月、板状の粕をタンクいっぱいになるまで投げ込み、よく洗浄した長靴を履いた職人が、投げ込んだ粕の上を粕と粕のすき間がなくなるまでよく踏み込む。そのタンクを密閉し常温で7月まで置いておく。すると味噌状態になった踏込粕ができる。そのまま食べても十分おいしい。自分で粕漬けや奈良漬を家庭で作る人がその踏込粕を買いに来る。奈良漬会社は、酒造会社から購入した板粕を2年間タンクで熟成してからうりやきゅうりを漬けるとのこと。酒粕が発酵食品なのでそれに漬けた奈良漬も発酵食品だ。奈良漬の需要は底堅い。


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