吟醸酒じゃないのに吟醸酒の味

2021/07/26
by 成子 和弘

吟醸酒の定義は、酒米を60%以上精米した米(玄米重量の60%以下まで精米した米)で仕込んだ酒だ。玄米の周囲の黄土色部分は脂肪やたんぱく質、中心付近の白い部分が純粋なデンプン。周辺部分の脂肪やたんぱく質は、お酒にとって雑味のもとになり、純粋なデンプンで仕込むと雑味のないきれいな酒になる。吟醸酒や大吟醸はお米を小さくなるまで削り、純粋なデンプンのみで仕込むので値段が高い。お酒の発酵に重要な役割を果たすのは酵母。その酵母の開発で、あまり精米しなくても吟醸酒のようなフルーティーな酒ができるようになってきた。去年、大手メーカーが70%精米の米で製造した「しぼりたてパック」が吟醸酒のような香りと味わいで大きな話題となった。今日65%精米の地酒メーカーの冷酒を飲んだが、これも吟醸酒のような味わいだった。もちろん、あまり精米していない米なので安い。これからは酵母開発競争で、安くて吟醸酒の味や香りの冷酒がどんどん出てくるに違いない。

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