酒ディプロマ二次試験を受験された方、大変お疲れさまでした。
筆者も大阪で二次試験を受験しました。
まず、触れておきたいのは、まさかの弊社ブログにて投稿していた琉球(本格)泡盛が論述問題にて出題されたことです!!
本当は黒糖焼酎等もまとめたかったのですが、酒造りが始まってしまい時間が取れなくて断念しておりました。
そんな中、投稿したものから出題されるとは心底驚いています。
読んでいただいた方は良かったと思っていただけたかと思います。
私としても投稿しておいてよかったとつくづく感じております。
さて、前置きが長くなりましたが、今回は総集編と題打ちまして、前日までの勉強法から当日の流れ、論述問題振り返り及び所感について記載させて頂きます。
今回受験された方、来年以降受験を考えている方、是非ご覧ください。
【論述】
論述については、とにかくお題に対するキーワードのアウトプットが大切だと思います。
弊社ブログでもキーワードを抽出してから200字まとめをしているように、まずはそのお題に対するキーワードをできるだけ多くアウトプットすることが論述の肝となります。
そのため、教本の中から出そうなトピックをピックアップし、周辺のキーワードをまとめることから始めました。(後述にて具体的な方法を2021年度の過去問を通じて披露します)
正直に言うと、200字でまとめる練習はしていません。(このブログで記載したまとめ以外にはしていません)
なぜならば、それよりもまずは周辺のキーワードをインプットすることが大切だと思ったからです。
但し、キーワードだけを丸暗記するのではなく、その背景・ストーリーも加味してインプットすることが肝要です。
そうすれば、当日まずキーワードをアウトプットさえできれば、周辺の背景・ストーリーも想起されるので、それをもとに記述ができてしまいます。
つまり、キーワードを周辺情報と一緒にインプットすれば論述問題はクリアできると思います。
一生懸命200字のまとめを練習するよりは、1つでも多くお題・キーワード・ストーリーをインプットしましょう。
どうしても不安であれば、直前期はまとめの練習をしてもいいと思いますが、インプットなくまとめの練習は意味が無いのでやめましょう。
【テイスティング】
〇日本酒
弊社は造り酒屋をやってますので、基本的にテイスティングの練習は弊社の日本酒でしていました。
しかしながら、五百万石で仕込んだお酒はなかったため、意表を突かれた形になりました。
ただ、五百万石はどれだろうと考えて飲むと答えにたどり着きづらいと思いますが、うまく言い換えてあげれば選びやすくなるのではと思います。
それについては後述の2021年度の問題の振り返りにて述べたいと思います。
〇焼酎
筆者は焼酎を普段から飲まないので、対策が必要でした。
焼酎において大切なことは2つ。
香ばしいか否か=常圧か減圧か、および主原料は何か、です。
これについては、芋・麦・米・黒糖・泡盛(・そば)を買いそろえて、毎日香りをかげば、極論すれば香りだけで判別ができるようになります。
特にお酒の弱い方は、焼酎を原酒で飲むとすぐ酔ってしまうので、香りをかぐトレーニングを中心に行ってください。
以上のような勉強をしていました。
大阪は阪急インターナショナルホテルが会場でした。
二次試験の大まかな流れは下記です。
14:00~14:10 開場
→ すでにこの時点でテイスティング用の日本酒と焼酎が置いてあります。
14:10~14:20 オリエンテーション
→ 注意書きの紙を読む時間です。
14:20~14:40 論述試験
→ 問題用試験解答用紙に論述の解答を書いていきます。
14:45~15:15 テイスティング
→ 用意されているものの外観・香り・味わいを
マークシートにマークしていきます。
緊急事態宣言やまん防でなければ吐器があります
水も用意してくれています。
日本酒4題、焼酎2題でした。
注意事項としましては、スマホ等の通信機器は電源を切りカバンの中へ。腕時計等も装着禁止です。カバンの中にしまうように指示されます。
また、会場の中に入ってからの撮影やSNSへの投稿は不正行為とみなされますのでやめましょう。
各問題用紙等はすべて一つの透明な袋に入っており、その試験ごとに取り出していくというスタイルです。
また、テイスティング問題の飲料は既に置かれているため、テイスティング問題の時短のためにも必ず外観はチェックしておきましょう!
結構受験者数もいて、緊張しましたが、論述問題の一問目を見て泡盛と言う言葉があったのでいい具合に緊張が解けて、ペンを走らせることができました。
会場の空調は飲料の品温を保つため寒めに設定されていますので、暖かめの格好をして下さい。
テイスティングもありますので、昼食はなるべく味の薄いものを食べるようにして下さい。
(これ結構大事!)
【論述】
まず驚かされたのが、今回何と論述問題が3問出題されたことです。(前年までは2問)
簡単に言うと、論述の分量が増えました。
受験生の大半が度肝を抜かれたかと思います。
では、それぞれ振り返りましょう。
①本格泡盛に合うおすすめの料理とその理由を説明してください。
→まさに弊社ブログで記述した内容(酒ディプロマ二次試験対策⑳~琉球泡盛編)がそのまま出題されました。
他の問題にも言えますが、論述問題の場合、いきなり質問に答えるのではなく、まずそのお題についての説明から始めましょう。
今回の場合、質問はおすすめ料理及びその理由ですが、まずはそもそも本格泡盛とは何ぞやと言うところから記述すると良いと思います。
なので、まずは泡盛に関するキーワードを想起します。(他のブログにて記述しているため割愛)
その後、泡盛に合う料理を列挙し、理由で締めくくるというスタイルがいいかと思います。
具体的な内容が知りたい方は、酒ディプロマ二次試験対策⑳~琉球泡盛編をご覧ください。
②扁平精米について説明してください。
ニッチなところを攻めてきましたね(笑)
正直扁平精米についての知識は乏しかったので若干焦りました。
しかし、①でも触れたように、いきなり扁平精米について記述するのではなく、根幹に立ち返り、ⅰ)そもそも精米にはどのような種類があったのか、ⅱ)その中で扁平精米はどうなのか、という流れで記述するという戦略を取りました。
ⅰ)精米は3種類あります。一般的な球形精米/普通精米、原形精米、そして扁平精米です。
→それぞれの精米の特徴を記述しました。
ⅱ)一般的な精米は球形精米、すなわち扁平精米は一般的ではない
→なぜ扁平精米は一般的ではないのかについて記述するという方針で書きました。
(正直ここについてはある程度想像で書いたため内容は割愛します。
ただ、球形精米と扁平精米の違いに着目すれば何となく理由は見えてくると思います)
以上のような流れで、扁平精米について記述しました。
③貴醸酒について、今後の展望を踏まえて説明しなさい。
ここも前までと同じ。質問は貴醸酒の今後の展望ですが、まずは貴醸酒とは何ぞやと言うところから始めましょう。
貴醸酒:留添の仕込み水を減らし、減らした分日本酒を加えるという製法の日本酒。
上記ぐらいは記述したいところです。もっと分厚く書いてもいいと思います。
それから、今後の展望について書いていきましょう。
今後の展望については答えが無いので、思うままに書けばいいと思いますが、個人的な意見ですが、あまり否定的な事(今後貴醸酒は市場からなくなります等)は書かない方がいいかなと思います。
採点官の心証が悪くなるような気がします。(論理的であれば点数はくれると思いますが)
私は、「消費者のニーズが多様化しているため、貴醸酒にも目を向けられる可能性があり、今後伸びる可能性がある」というような方向で書きました。
他にも、時事問題に絡めて「コロナ禍で酒余りの蔵もあると推測されます。余った酒を留添に使い貴醸酒を造る蔵が増える可能性があると思います。」というのもいいかと思います。
いずれにしてもネガティブよりはポジティブな事を書きましょう。(ネガティブな事を書くという事は貴醸酒を造られているお蔵さんのリスペクトに欠く行為だと思います。)
【テイスティング】
例年通り、日本酒4題、焼酎2題でしたね。
〇日本酒
1つ目が色づいていたので、「しっかり熟成していい年の取り方をしてますねぇ~」なんて思いながら試験を開始しました。(決して馬鹿にしているわけではなく自分を落ち着かせるために考えてました)
生酛だと色がついてないものも多いので手強いですが、山廃は熟成山廃が多く、たいてい色づいているため、外観だけで即山廃と解答できます。(但し、必ず香りや味もみて下さいね)
まず最初にすべきことは設問の確認です!
設問が今回の出題されている日本酒の情報を教えてくれるからです!(順番はテキトーです)
①五百万石のお酒を2つ答えなさい。
→今年は山田錦じゃないのか・・・と思いつつ、五百万石はライトな味わいになるという教本の内容を思い出しました。
なので、設問を五百万石と正面からとらえるのではなく、ライトなお酒を2つ選びなさいと読み替えました。
ちなみに、山田錦は奥行きのある味わいと言う記述があるので、奥行きのある味わいの日本酒はどれかと読み替えて解くといいと思います。
②アル添酒を1つ選びなさい。→アル添酒が1つあるのね!と理解する。
③セルレニン耐性酵母のお酒を1つ選びなさい。→香り酵母のお酒が1つあるのね!と理解する。
④生酛(生酛・山廃酛)のお酒を1つ選びなさい。→やっぱりあるな!①だろうけど、山廃が1つあるのねと理解する。
そこまでの前情報を得てから、実際香りを嗅ぎ、味わってマークしていくのがいいかと思います。
用語選択用紙は回収されないので、余白にどんどんメモすることをお勧めします。
(各設問の解答も書いておくといいと思います)
〇焼酎
例年通り2題でした。今年は、主原料・常圧/減圧だけでなく、アルコール度数も問われています。
香りを嗅ぐトレーニング中心でいいですが、度数違いの焼酎を味わっておくトレーニングも必要になります。(当たり前ですが、度数が低い方がパンチも弱い気がします)
論述が3題に増えたのは驚きました!しかし、明確な方針(お題に対する説明→設問への回答)をもって臨めば、大きな減点はないと思います。
論述の勉強でふれたように、お題とその周辺のキーワード・ストーリーをしっかりインプットすることから始めてください。
テイスティングについては大きな変化はなかったので、この形が踏襲されるものと思います。
日々日本酒を利き、焼酎の香りを楽しめば乗り越えられるかと思います。
ここまで長々と語りましたが、かくいう私も受かっているという確証はありません(笑)
11/2に合格発表がありますので、それまで気長に待つことにしたいと思います。
弊社ブログをご覧になっていただき誠に有難う御座います。
受験された方が受かっていることを祈念しております。
来年受験される方は、是非このブログを参考に勉強を進めて頂ければと思います。
ありがとうございました。
酒ディプロマ受験生・酒造り見習い 成子 善一