アルコールを作る微生物は酵母(イースト)だ。
日本酒もワインもビールも紀元前から2000年以上の歴史があるが、酵母という微生物によって作られるとわかったのは200年前に発明された顕微鏡によって。
酵母の大きさは100分の1mmなので、顕微鏡でしか見えない。
それまでは、こうすれば日本酒、ワイン、ビールができるのだと人々の経験で造っていた。
日本ではお神酒を神棚に供えるなど、お酒と神様のつながりが深いが、神様の力によってお米がお酒になると信じていたからだ。
つまり日本酒とはとても神秘的な飲み物。
神様からの授かりものだった。
顕微鏡の発明によりその神秘性が崩れてしまった。
酒蔵見学に来られる方々にそんな説明をすると「酵母の発見がなかった方が、お酒は神様からの授かりものだからありがたかったのに」と残念がる方も多い。
文明の発達によって失われる文化もある。
江戸時代より続く大阪地酒蔵の蔵元 成子 和弘