日本酒の中で一番の高級品は大吟醸です。
大吟醸は酒米を50%以上削ってしまうので、もちろん原料代が高いです。
それ以上に他の酒に比べ、手間がかかりまた技が必要だからです。
日本酒の製造過程で大事な順として、1麹(こうじ)2酛(もと)3造り(つくり)と言われます。
いい麹を作ることが最も大事だということです。
いい麹を作るために一番大事な事は、いい蒸米を作ることです。
いい蒸米を作るために一番大事なことは、蒸す前のお米が適度に吸水されていることです。
吸水が少ないと、蒸したあと米の芯が残っています。
吸水が多すぎると、おかゆのように粘ってしまいます。
いい蒸米ができないと、その後の作業をいくらがんばってもいいお酒になりません。
精米したお米、精米率が高い(小さくなればなるほど)吸水時間が早くなります。
水に浸漬している時間、30秒早いか遅いかによって大きく変わってきます。
この浸漬時間を見極めるのが杜氏の一番の技です。
同じ品種で同じ精米歩合でも、もとの米の水分量、精米後の日数、浸漬する水の温度などによって変わります。
大吟醸の酒米の浸漬時間を測るのに、杜氏らはみんなストップウォッチを使っています。
それほど微妙で、いい酒になるかどうかの一番のポイントだからです。
江戸時代より続く酒蔵の蔵元 成子 和弘