弊社のお酒で、一升瓶1本1万円の「無我無心」という酒がある。
15年前に初めて1万円の酒を発売した時につけた名前だ。
高級酒を作った場合、メイン銘柄(浪花正宗)とは違う名前を付ける蔵が多い。
私も、高級感があり日本酒らしい名前がないかいろいろ考えていた。
ちょうどその頃、地下鉄 淀屋橋駅で書道展をやっていて、いっぱい「書」が貼りだされていた。
何とはなく見ていたが、その中のひとつ「無我無心」という文字とその雰囲気にとても惹かれた。
無我無心とは、我欲やよこしまなところのない純粋な心という意味だ。
純粋な心で造るお酒は、なめらかでスーっと飲めるというイメージでとても気に入った。
すぐに書道展の主催者にその書の作者を紹介してもらった。なんと26歳の女性だった。
プロの書家ではなかったので、無我無心のお酒を御礼に渡すだけでラベル採用をOKしてくれた。
さすがに、その文字に惹かれて購入されるお客さんも結構いる。
いい名前を付けることができ満足している。
江戸時代より続く酒蔵の蔵元 成子 和弘