【ブログ執筆者紹介】
大阪府で最も歴史のある(創業1716年)浪花酒造の現社長、成子和弘による日本酒の知識・雑観・評判等について記載したブログです。
成子和弘は昭和62年(1987年)に浪花酒造に入社。
平成10年(1998年)に10代目として代表取締役に就任。
約35年、日本酒製造業界で従事した日本酒のエキスパート。
日本酒だけでなく、酒類全般の知識も豊富。
日本酒事業に従事したエキスパートの観点から、ご覧頂いている皆様に還元できる日本酒で躓きそうなポイントや雑学、日々の所感・新着・イベント・出店情報・酒ディプロマの勉強・対策等を更新。
ブログ記事一覧は下記
日本酒には見向きもしなかった女性ファンが年々増えてきてるのがうれしい。
吟醸や大吟醸はフルーティーでほんのり甘く女性好みの味だからだ。
日本酒のイベントでも最近はその参加者の半数が女性だ。
見ていると一般的に男性はお酒の味にあまり興味ない。
お酒に酔ってみんなでワイワイやるのが目的。
女性はお酒の味そのものに興味があり、このお酒は香りがいいとか、甘いとか飲みやすいとか、しっかり味の評価をしている。
日本酒の中で一番の高級品は大吟醸です。
大吟醸は酒米を50%以上削ってしまうので、もちろん原料代が高いです。
それ以上に他の酒に比べ、手間がかかりまた技が必要だからです。
売れるお酒とは人気ある酒。
日本酒はどれも透明の液体なので、視覚でこれは美味しいとか判断できない。
ビン形やラベルデザインで選ぶ人もいるが、ネットランキングで上位だ、きき酒専門家が美味しいと言った、有名タレントが宣伝しているなどの人気で選ぶ人が圧倒的だ。
そのような人気銘柄の酒とそうでない酒、よく目隠しで飲みどれだけ違うのか確かめている。
この連休中、直売所ずっと営業していたが、予想以上に来客に恵まれた。
近くのイオンモールやアウトレットが緊急事態宣言で営業していなかったので、そのお客さんが流れて来てくれたのかも。
一番の人気商品は
同じお酒を飲むのでも、どんな器で飲むかによって美味しさが違います。
普通酒(燗酒)がメインだった頃は、猪口(ちょこ)という50mlほどの小さな陶器の器で飲んでいました。
なぜこんなに少量なのか?
昔は宴会時、各自、猪口を持って宴会参加者全員とお酒を酌み交わすという習慣がありました。
小さい器でないとすぐに酔ってしまうからです。
でも、華やかな香りを楽しむ吟醸酒や大吟醸などは、小さな器だと香りを楽しめません。
吟醸酒や大吟醸はワイングラスで飲むのが一番だと思います。
ただワイングラスは値段が高いし、洗浄もやっかいで、ちょっと油断するとすぐに割れてしまいます。
私が日頃使っている器は、
吟醸酒とか大吟醸酒は酒米を半分または半分以上削って(精米して)から使うので、よく「もったいない!」と言われます。
でも心配ありません。
米ぬかや米粉、それだけでちゃんと利用されています。
米ぬかは、玄米の一番周囲の部分で色が茶色っぽい。油分が20%近くあり植物油脂の重要な原料となっています。
その他、肥料、漬物、きのこの培養に使われています。
米を精米してできる粉は最初茶色(米ぬか)ですが、精米を進めるとだんだん白くなってきます。
これが
国内での日本酒消費量は減る一方だが、輸出はどんどん伸びている。
これは、世界的な和食ブームで日本食レストランが増えているので、それにくっついて日本酒も増えている。
和食が人気の理由は、全般的にカロリーが低くヘルシーな事。
日本人が世界一の長寿国なのは、ヘルシーな日本食を食べているからだと思われている。
私は、大学を卒業したあとメルシャンワインに入社。
山梨県のワイン工場でワイン製造していました。
ワインと日本酒の製造方法を比べるとワインはメチャクチャ簡単です。
ブドウを破砕しジュースにしてタンクに投入、酵母を入れるだけ。
1週間~3週間の発酵でワインになります。
ワインの良し悪しは、
お酒は食品産業ですが、昔(明治時代)から酒税というものが課せられているので、監督官庁は、厚生労働省(保健所)ではなく、財務省(税務署)です。
なので、保健所は酒類メーカーに監督指導には来ません。税務署員が来ます。
また各県の国税局には国家公務員上級の技術職で採用された方が鑑定官室という部署に配属されています。
酒を専門に勉強し全国の酒造メーカーの技術指導に回っています。
なので、酒造メーカーは鑑定官の方々を先生と呼びます。
この鑑定官の先生方が中心となって鑑評会で審査を行ないます。
今どき、井戸水を使っている家はほとんど無いだろう。
もし井戸が残っていても、飲み水として使えるところもほとんど無いだろう。
浪花酒造の井戸は、300年前の創業当時からずっと湧き出ており、これまで涸れたという話を聞いたことがない。
酒造期間は、仕込みだけでなく、酒米、酒造用具、タンクなどの洗浄に毎日何千リットルもの水を使う。
今でも全く涸れない。
浪花酒造の命と言っても過言ではない。